「債務整理を行うとブラックリストに登録されると聞くけど、登録されるとどんな不都合なことがあるのだろうか?」
ブラックリストという言葉は耳にし、不安には思うものの、どのような影響があるのかわからず、具体的に思い浮かばない方もいるのではないでしょうか。実際にブラックリストに登録されると、長い期間不都合なことが生じかねないので注意が必要です。
本記事では債務整理とブラックリストについて解説します。債務整理を検討されている方でブラックリストについてお知りになりたい方はぜひ最後までお読みください。
この記事を読むことで、以下のことがわかります。
- 債務整理の種類について
- 3つの個人信用情報機関について
- ブラックリストに登録された場合における登録年数について
- 登録されるとできなくなることについて
そもそも債務整理って何?
債務整理とは、現在返済している借入金を見直すことです。
例えば、債務の減額や返済期限の猶予などがあります。債務の範囲は広く、家のローンや車のローン、消費者金融からの借入はもとより、クレジットカードのリボ払いなども債務に該当します。
携帯電話を買った際に分割で支払っているケースもあてはまるでしょう。
債務整理を行うとき、自身が返済している債務の残高や毎月の返済額、返済期間などを勘案してどのように見直すのかを考えなければなりません。
債務整理の種類として次の4通りがあります。
- 任意整理(裁判所に申し立てずに利息の見直し等を債権者と直接交渉する方法)
- 特定調停(簡易裁判所に申し立て、調停委員を交えて返済の見直しを行う方法)
- 自己破産(裁判所に申し立て、当面の生活に必要な資産を除き、全ての保有資産を処分する代わりに債務を免除してもらう方法)
- 個人再生(裁判所に申し立て、住宅ローンを除いた債務が5,000万円以下の債務で、5分の1~10分の1に債務の減額可能な債務整理方法)
そもそもブラックリストって何?
債務整理を行うと、個人信用情報機関に債務整理を行ったことが登録されます。債務整理を行ったことを、個人信用情報機関は「異動情報」として登録します。この異動情報が、「ブラックリスト」の正体です。
ここでは、ブラックリストについて深掘りするとともに、3つある個人信用情報機関について解説します。
ブラックリストとは異動情報が個人信用情報機関に登録されること
債務整理を行えば、債務者は個人信用情報機関に、自己破産等債務整理を行ったという情報が登録されます。俗にいうブラックリストです。正確には、債務整理が行われたという情報はブラックリストとは言わず、「異動情報」と呼ばれています。
「異動情報」には、債務整理を含め次の4つの情報があります。
- 延滞・遅延
- 債務整理
- 代位弁済
- 強制解約
債務整理以外にも異動情報として登録されます。例えば、毎月の返済日に入金できず2~3ヶ月延滞している場合も異動情報に登録されますので注意しましょう。
個人信用情報機関は3つある
個人信用情報機関とは、借入やクレジット・ローンの契約や申込状況、借入枠や残高、本人が個人信用情報機関に申告した内容や異動情報など、個人の「信用」に関して登録している機関です。
銀行やクレジットカード会社、消費者金融等与信業務に携わっている金融関連会社は以下のいずれかの個人信用情報機関に加盟しています。
- JICC(株式会社日本信用情報機構)
- KSC(一般社団法人全国銀行協会 銀行個人信用情報センター)
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
JICC(株式会社日本信用情報機構)
(引用:JICC)
JICCとは、主に消費者金融会社、流通系・銀行系・メーカー系クレジット会社、信販会社、金融機関、保証会社、リース会社などが加盟している個人信用情報機関です。
2023年12月現在、加盟総会員数 1274社、内加入貸金業者は777社です。
KSC(一般社団法人全国銀行協会 銀行個人信用情報センター)
(引用:KSC)
KSC(全国銀行個人信用情報センター)は、一般社団法人全国銀行協会に設置されている個人信用情報機関です。主な加盟会員として、 銀行等市中金融機関、 政府関係金融機関、信用保証協会などがあります。
2023年3月現在の加盟会員数は1054社です。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)
(引用:CIC)
株式会社シー・アイ・シー(以下、CIC)は、クレジット会社の共同出資により設立された個人信用情報機関で、割賦販売や消費者ローン等のクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関です。
2023年3月現在、加盟会員数は871社を数えています。
ブラックリストに登録された場合の注意点とは
債務整理を行うことで個人信用情報機関に異動情報として登録されるのですが、いつからブラックリストとして登録されるのでしょうか。また登録期間や3つの個人信用情報機関は一律なのかについて解説します。また、確認方法についても紹介します。
どの時点からブラックリストに登録されるのか?
債務整理を行ったことが記録されるのは、金融機関や貸金業者等登録業者が加盟している個人信用情報機関です。債務整理の種類によって登録日は下記の表に示すように登録日が異なります。
債務整理の種類 | 登録日 |
---|---|
任意整理 | 受任通知を送付した日 |
個人再生 | 再生手続き開始決定日 |
自己破産 | 免責許可確定日 |
貸金業者やクレジット会社等債権者は、弁護士事務所や裁判所から送達された書類に基づいて、それぞれ加盟している個人信用情報機関に登録を依頼します。
債務者が債務整理を行ってすぐに情報確認を行っても、個人信用情報機関に債務整理を行ったことが反映されていない場合があるかもしれませんので注意しましょう。
ブラックリストに登録されると5年~10年消えない
債務整理を行うと、ブラックリストに登録されている期間は以下の表の通りです。
おおむね5年以内ですが、KSCにおいて、官報情報に関しては10年を超えない期間とあります。個人再生や自己破産が官報情報に該当します。
債務整理の種類 | 個人信用情報機関 | ||
JICC | KSC | CIC | |
任意整理 | 5年 | 5年 | 5年 |
個人再生 | 5年 | 10年 | 5年 |
自己破産 | 5年 | 10年 | 5年 |
ブラックリスト登録の確認方法とは?
ブラックリストに登録されているかどうか確認するには、それぞれの個人信用情報機関に問い合わせなければなりません。KSCを除く2つの個人信用情報機関は窓口、郵送、インターネットで登録確認は可能ですが、KSCは郵送のみですので注意が必要です。
お問い合わせ方法 | 個人信用情報機関 | ||
JICC | KSC | CIC | |
窓口 | 可 | 不可 | 可 |
郵送 | 可 | 可 | 可 |
インターネット | 可 | 不可 | 可 |
【ここ重要】ブラックリストに登録されるとできないこと4点
ブラックリストに登録されることで、次の4点が通常できなくなるので注意しなくてはなりません。
- 新規の借入ができない
- クレジットカードが作れない
- 賃貸住宅の入居審査に落ちる恐れがある
- 携帯電話やスマホ端末の分割購入ができない
それぞれについて解説します。
新規の借入ができない
債務整理を行うと、銀行等の金融機関および消費者金融等の貸金業者から新規の借入はできません。貸付の審査を行う際、通常金融機関等は返済状況やブラックリストに登録されているかどうかをチェックします。債務整理等を行った情報が登録されていると、返済が厳しいと判断するのが理由です。
債務整理を行った人の中には、複数の消費者金融会社の資金を債務整理したので、銀行では異なる個人信用情報機関であるので借入ができるのでは、と考える人もいるかもしれません。
3つの個人信用情報機関は、債務整理等異動情報の登録がある場合、個人信用情報機関は相互に情報を共有します。そのため、異なる個人信用情報機関に加盟している金融会社へ借入を申し込んでも借入はできない仕組みとなっています。
クレジットカードが作れない
ブラックリストに登録されると、登録期間中、クレジットカードの新規作成ができません。借入でないので問題ないのでは、と思われる人もいるかもしれません。
クレジットカードは現金後払いのシステムで商品を購入できます。つまり、カード会社が立て替え払いを行っているので、借入と同じく与信行為に該当します。
カード会社は、債務整理を行ってブラックリストに登録されている人を、正常に返済するとは考えないので、カード作成に応じないのが一般的です。
賃貸住宅の入居審査に落ちる恐れがある
賃貸住宅の入居審査で落ちる恐れがあるので注意しましょう。特に賃貸借契約に家賃保証会社を義務付けている場合に可能性が高くなります。なぜなら、家賃保証会社が貸金業者登録されていることがあるからです。
家賃保証会社とは、入居者が家賃を支払わなかった場合、入居者に代わって家賃を賃貸人に支払う会社です。家賃保証会社の中には貸金業者登録を行っている会社もあるため、入居審査を行う際、入居予定者がブラックリストに登録されている場合、家賃を支払えない恐れが高いと判断し入居は難しいといったケースがあります。
債務整理を行い、賃貸住宅に入居を考える場合、家賃保証会社がどこなのかを事前に不動産会社へ確認しておくのもいいでしょう。
携帯電話やスマホ端末の分割購入ができない
携帯電話やスマホ端末を購入時に分割払いを選択した場合、購入できない場合があるので注意が必要です。携帯電話会社は個人信用情報機関に加盟している場合がほとんどで、分割払いの審査の際、ブラックリストに登録されているのかをチェックするためです。
携帯電話やスマホ端末を購入する場合、分割払いを利用せず、一括払いで購入する方法があります。機種を選ばないというのであれば、少し古い機種を買ったりすることをおすすめします。
まとめ
債務整理とは、現在支払っている借入金を見直すことです。債務整理には任意整理・特定調停・自己破産・個人再生の4種類あり、毎月の収入から返済額等を鑑み選択しなければなりません。
債務整理を行うと、個人信用情報機関に債務整理記録が「異動情報」として登録されます。いわゆる「ブラックリスト」です。個人信用情報機関には、債務整理を行った記録が債務整理内容により5~10年登録されます。登録期間中、新規の借入やクレジットカードの新規作成等ができなくなり、日常生活に不便を感じることがあるかもしれません。
債務整理を行うかどうか迷っている場合、先々のことを考え、専門家に相談することをおすすめします。